DAWN

永井覚紀のコラム

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』が公開されますが、
僕はというとかれこれ10年間は奥田民生になりたいボーイ。
学生時代に周りで飛び交う「普通」という言葉を不審に思ってからというもの、歌詞が声がリズムが、折に触れ
沁みる沁みる。「そうなんよーさすらわんひとばっかとよ!」とか、「あー今日俺もピンぼけの日〜」とか、「退屈ならそれもまたグー!」とか。

そんな奥田民生のデビューと、僕の誕生年は奇しくも一緒で、今年で30周年。つまり僕の「奥田民生になりたいボーイ期間」は人生の三分の一の期間に該当するわけだ。
この三分の一をパーセンテージでいうと33.3%。三割三分三厘。僕の場合ものごころついたのが小学校一年生の半ばだったので、それまでの期間を除けばさらにこの数字は上昇し、それは全盛期のイチローの打率をも凌駕することになる。

でもイチローの全盛期っていつ?過去のデータを数字で客観的に判断することはできるが、はたして本当にそれを全盛期と呼ぶのだろうか。本人の意識(つまり主観)ではいつ?有識者(誰だそれ)の判断だといつ?主観と客観だとどちらに優位性があるのだろう。

僕は思う。スラムダンクで桜木花道が言ったように、それは「今」なのではないかと!主観も客観も織り交ぜておしなべて「今」だと!全盛期とは常に「今」なのだと!

ということで、奥田民生の全盛期は今。そう2017年のこの瞬間なのである。デビュー当時のことはよくわからないが、それも全て今のため。日々積み重ね、日々歴代最高を更新しているのである。

ぜひ全盛期の(と言ってもちょっと前になるが)「奥田民生」を聞いてみてほしい。自身の贔屓プロ野球チームのホーム球場で、好きに弾き語りするあの全盛期を。わがままで、自由で、声にも人にもノビが感じられるから。

余談ではあるが、厳密には桜木花道が言ったのは「栄光時代」であって「全盛期」ではない。あの極限状態においてその言葉のチョイスの繊細さ。彼もまた、詩人。スラムダンク読み返そ〜

永井覚紀
1988生福岡県久留米市在住
大学で建築を学ぶ。
様々な職を転々とし独自の解釈でクリエイティブに向き合う男。
現在はうきは市の杉工場で木工職人を生業としながら活動中。